企業法務memoブログ

主に企業法務関連書籍の紹介をしていきたいと思います。

『よくわかるパーソナルデータの教科書』memo

Twitter等で多くの方々が推薦しているのを見て、書籍『よくわかる パーソナルデータの教科書』を読みました。

 

 

推薦している方に弁護士や企業法務担当が多いことからてっきり法律書かと思い購入しましたが、法律書では得られないものがたくさん詰まっていました。

 

以下、雑感。

  • 読むとパーソナルデータの活用をしてみたくなる本。一方で活用にあたっての課題・考慮ポイントが網羅的に(できる限り余計な情報を付加しないように注意を払いながら)紹介されていて、「教科書」のタイトルに相応しい本と感じました。
  • 「情報」と「データ」について、情報科学個人情報保護法制との関係について言及したり、読み物としての面白さを追求しつつ知識を立体的にする工夫が散りばめられています。
  • 「信頼」について、視点を変えたり考慮要素を分解することで、(文字情報で説明しにくい概念であるにもかかわらず)本を読んでスッと頭に入ってきたのは新鮮な感覚でした。

上記のほか、企業法務担当の立場で本書を読んで感じた点として、

  • 事件簿を通して、過去発生した事案の有名どころを洗える。大半は知っている人が多いと思うが、全部知っている人は意外と少ないのでは。
  • 関連する技術・用語を噛み砕いて説明してくれていて有難い。知ったかぶりをしている(または知った気になっている)人も意外といるのでは。
  • 法的知識をこの本で獲得しようとするのはおすすめしない。著者もそのような狙いではないのでは。
  • あまり個人情報保護法制を理解していない企業法務担当が読むと読み物で終わってしまうかもしれない。企業法務担当が、法令/法令外の境目を意識しながら読むととても面白い。

個人情報保護法制に関しては、条文・個人情報保護委員会ガイドラインだけ読んで業務を回す企業法務担当が多い印象です。
それはそれでとても大事ですが(他法令に比べて実務に影響のある改正が頻繁で、それを追うだけでも結構大変ですし・・・)、実務の中で活きる知識とすべく、こういった本で得られるものと組み合わせて整理していくことを強くおすすめします。